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メンバーズ紹介


社会人としてのスタートは米国 任されたホテルの仕事で成功と失敗を経験


  CEO BY FORTY
スカウトされて帰国、運命の出来事に遭遇し
一転モリシマの社長へ







仲間との交流から新しい販売方法を考案
双方収益につながるシステムで経営を助ける


  不要な部門は切り捨てる決断も必要  核となる事業のさらなる充実を目指す



 


斬新な販売手法を他業種企業の発想からベンチマーキング。
『ベストプラクティス』を構築した成功事例。






株式会社森島羅紗店










深田社長が最も重要視したのが、異業種ルート販売というアイデアだった。ある時友人を集めて服を買ってくれと頼んだときに、その中の一人が「俺が買っても年2〜3着だから、うちの会社で売るよ」と言ったのである。その友人は鉄工所を経営していて、洋服販売とは無縁だったが、鉄工所の催事としてやればいいだろうと勧めてくれた。モリシマはもともとイージーオーダーという工場縫製の仕組みで紳士服も売っていた。それを洋服屋のルートでなく異業種のルートで売ったらどうかというのである。深田氏は面白いなと思った。
「しかも彼は青年会議所の指導力委員会のリーダーをやっていて、社員のやる気を出すための指導のノウハウをプログラムとして持っていたんですね。そこで、私はそのプログラムと洋服の販売を一つにしたんです。つまり洋服を売ることを研修のプログラムとして行い、実際の商売を通じて楽しく成功体験をしてもらうことを始めたんです。たとえそれが本業でなくても成功の体験は、本業のほうにもやる気を起こさせ、いい影響になります。つまり研修を行う企業は、実践的なプログラムで社員のやる気を引き出すことができ、私たちはそのプログラムの中で実際に洋服を売ることができ、収益が上がる。社内イベントとしてお互いに収益が上がればやりがいもあるし、社内の活性化にもなるだろうというわけです」
これがきっかけで、鉄工所の社員が催事のひとつとして得意先に洋服の販売をするという異業種販売が始まり、これがひとつのテストケースとなって成功を収めるのである。そうして研修のためのノウハウなど名古屋経営研究会でアドバイスを受けながら、この社員研修システムを「やる気塾」とネーミングしてパッケージ販売するようにしたのだ。参加企業の社員の方々には売上目標を設定し、紳士服イージーオーダーの実践販売で体験研修してもらう。そこで成功体験をすることで、企業としては収益を上げながら社員の活性化を図ることができるというわけだ。実際に研修後は電話の応対が明るくなった、コミュニケーションがよくなったという声が聞かれると言う。やる気塾の研修効果に注目が集まり、回を重ねるごとに参加企業も増えていった。要するに、モリシマ製のイージーオーダーの洋服を売ることを社員研修のプログラムとして販売したわけだが、単に自社の利益だけでなく相手企業にも多大な利益と効果がある研修システムにしたことが成功の要因であろう。アイデアの勝利である。

これらのチャレンジの結果、新しい経営の方向が見えてきたその一方で、順調だと思っていた既製服の郊外店への卸し販売が行き詰まって大損害を被ってしまった。というのも、お店には売れたがお客には売れてはいなかったのだ。仲介業者が郊外店の過当競争と価格破壊の中で倒れてしまい、大量の返品を受け取ることになってしまった。損失を出しながらもなんとか生き延びて行けたのは「やる気塾」の成功があったからに他ならない。そして既製服の部門は撤退し、やる気塾に力を入れていくことになったのである。
その結果、結婚式場、バス会社、ガス会社、引っ越しサービス、車のディーラー…あるとあらゆる業種の企業がこぞって「やる気塾」に参加しはじめたが、深田社長はモリシマの次の段階としてスーツを買っていただくお客様にリピートしてもらえるように働きかけなければ、収益増大にならないことに気がついた。そこで社内ミーティングを重ねて社員一同で話しあった結果、平成9年に「オーダースーツ10年保証」というスローガンを掲げ、お客のクレームには徹底的に対応しようということにしたのである。
「10年保証なんてすると会社がつぶれるんじゃないかとみんな言うわけです。3年前に買ったスーツを作り直せと言われて作り直しましょうと言うと、お客様はビックリしますよね。期待を超えるサービスです(笑)。クレームにはお客様の要望やニーズがあり、またクレームにきめ細かく対応することで顧客データもきめ細かく作れますし、喜んでいただけたら必ずリピートして購入してもらえる。クレームを大切にして、いかに徹底していくかということが今一番進めていることです」
社内で何をどこまでやれるか、顧客管理をどうしていくか、クレームをどのように受けるかといったことで徹底してフォローするとリピートになるし、次の商品も売れていくものだ。そのためには具体的な目標設定をしっかり立てておくことが大事だと深田社長は言う。たとえば納品後に御客様に送付するアンケート往復ハガキでクレームが来たら、24時間以内に対応する。それ以外は72時間以内に、というようにルールを決め、日報で報告する。こうした仕組みを作ることで、次に何をすべきか、どういうニーズがあるのかということが明確に見えてくるのである。経営は緻密な計算と一つひとつの作業に対する明確な目標設定があってこそ、というのは深田社長がホテル勤務で学んだ基本といえるだろう。



 
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